【数学】フーリエ変換の意味を知る

ディラックのデルタ関数の定義

任意の関数fとの内積<δ,f>がf(0)になる超関数δのこと。

ディラックのデルタ関数のイメージ

普通の関数っぽく例えるなら、x=0で∞、それ以外では0であり、全体の積分が1となるようなもの。

別の言葉で言えば、x=0に100%集まった確率分布。

用途から見れば、x=0での値を取り出す関数(のようなもの)。

※超関数は簡単にいえば「分布」です。

フーリエ変換

fのフーリエ変換は、fをe^iwxという形の無限和で表したときの、係数の分布と大きさを表すものです。

∫[-∞→∞]f(x)e^(-2πiξx)dxとフーリエ変換を定義すれば、

sinxのフーリエ変換は、(i/2)δ(ξ-1/2π)+(-i/2)δ(ξ+1/2π)となります。

これは、fのe^(-2πiξx)という形の無限和表示において、ξ=1/2πのときの係数がi/2、ξ=-1/2πのときの係数が-i/2であることを意味します。

言い換えると、f(x)=(i/2)e^(-ix)+(-i/2)e^(ix)と表せるということです。

∫[-∞→∞]f(x)e^(-iξx)dxとフーリエ変換を定義すれば、

cosxのフーリエ変換は、(1/2)δ(ξ-1)+(1/2)δ(ξ+1)となります。

これは、fのe^(-iξx)という形の無限和表示において、ξ=1のときの係数が1/2、ξ=-1のときの係数が1/2であることを意味します。

言い換えると、f(x)=(1/2)e^(-ix)+(1/2)e^(ix)と表せるということです。

フーリエ変換の計算例

1のフーリエ変換は、δ(ξ)

↓他の例

http://zakii.la.coocan.jp/fourie/12_miscellaneous.htm

フーリエ変換の捕捉

フーリエ変換の途中式は書いていませんが、割と大変です。

フーリエ変換の定義式は、流派によって少し違う(e^(-2πiξx)かe^(-iξx))こともありますが、本質的には同じです。上記のように、δ関数の引数が少し変わるだけで、本質的に表す意味は同じです。

上記のように、フーリエ変換は関数ではない超関数になることもあります。

【群論】有限体の乗法群が巡回群になることの証明

問題

有限体Kの乗法群K*が巡回群になることを示せ。

証明の流れ

NをK*の元が取る最大の位数としたとき、K*の任意の元のN乗が1であることを示す。

N<#K*なら矛盾するので、N=#K*が示される。

証明

Kを有限体とし、K*をKの乗法群とする。

K*の元の内、最大の位数を取る元をx、その位数をNとおく。y∈K*に対して、xyの位数がmであるとする。mがNの約数なら、(xy)N=1であり、yN=1。mがNの約数でないなら、x-mの位数はNになるので、yの位数はNになる。yで生成される巡回群は、yで生成される巡回群の部分群なので、yの位数はNとなる。つまり、yN=1。

Kは体なので、方程式XN=1のK上の解の数はN以下であるが、K*の任意の元がXN=1の解となるので、#K*≦Nとなる。#K*≧Nは自明なので、N=#K*

以上より、K*はxで生成される巡回群となる。

補足

なぜN=#K*を示すのか?:N=#Kなら、xの巡回群の位数が#K*となり、(xの巡回群)=#Kとなるから。

mがNの約数でないなら、x-mの位数はNになる:x-mの位数がk(≠N)なら、x-mk=1となるが、-mkがNの倍数でないのでおかしい。

yで生成される巡回群は、yで生成される巡回群の部分群なので、yの位数はNとなる:ラグランジュの定理(「部分群の位数は、それを含む群の位数の約数になる」)より、yの位数はNの倍数となるが、K*の元が取る最大の位数はNなので、yの位数はNとなる。

#K*≧Nは自明:位数が、その集合の要素数を超えることはない。もし、N>#K*となるなら、xの巡回群の要素数は#K*を上回るので、おかしい。

【証明付き】素数に関する定理まとめ

導入

素数に関するまとめサイトが無かったので作りました。

証明されているものに限り記載しています。

目次

  • 弱いゴールドバッハ予想
  • ベルトラン・チェビシェフの定理
  • 素数定理
  • オイラー積
  • 素数の間隔に関する事実
  • 立方数に関する事実
  • ウィルソンの定理
  • グリーン・タオの定理
  • 算術級数定理

弱いゴールドバッハ予想

7 より大きい奇数は 3 個の素数の和で表せる。3 個の素数は同じ数であってもよい。

ハラルド・ヘルフゴットによる証明

ベルトラン・チェビシェフの定理

任意の自然数 n に対して、n < p ≤ 2n を満たす素数 p が存在する。

エルデシュによる初等的な証明

素数定理

π(x) ~ Li x

素数定理 – Wikipedia

ポール・エルデシュによる証明

ニューマンによる短い証明

ゴールドフェルドによる初等的な証明

アヴィガドと他3人による証明

素数定理の証明と歴史

オイラー積

ディリクレ級数を素数に関する総乗の形で表した無限積。

オイラー積 – Wikipedia

素数の間隔に関する事実

間隔が246以下の2つの素数の組は無限に存在する。

D.H.J. Polymath による証明

立方数に関する事実

n が十分大きければ n3 と (n + 1)3 の間には必ず素数が存在する。

アルバート・イングハムによる証明

ウィルソンの定理

p が素数ならば (p − 1)! ≡ −1 (mod p) が成り立つ。
逆に、整数 p > 1 に対し、(p − 1)! ≡ −1 (mod p) ならば、p は素数である。

ウィルソンの定理 – Wikipedia (証明付き)

グリーン・タオの定理

素数の列は、任意の長さの等差数列を含んでいる。

テレンス・タオと他2人による証明

算術級数定理

初項と公差が互いに素である等差数列には無限に素数が存在する。

算術級数定理 – Wikipedia (証明付き)