【ヴィーガン必見】動物性食品を食べないとどうなるか?を解説

目次

導入

誰しもヴィーガンという単語を一度でも目にしたことがあるのではないでしょうか。そして大抵の場合、そこには白熱した議論が付属します。「動物が可哀そう」と主張する人もいれば、「生きる為には欠かせない」と主張する人もいて、…「ヴィーガンの食事は普通の食事よりも健康的だ」と主張する人もいれば、「必要な栄養素が足りなくなる」と指摘する人もいます。

では、実際のところヴィーガンの食事は健康面で問題はあるのでしょうか。科学的な視点で考えていこうと思います。

ヴィーガンとは?よくある誤解

まず、ヴィーガンについての語が曖昧なので、この記事で誤解を与えないように、一応、ヴィーガンについての定義をおさらいしようと思います。

veganとは、『研究社 医学英和辞典第2版』によると、「完全菜食主義者、超純粋派ベジタリアン」のことであり、『栄養・生化学辞典 普及版』によると、「卵と魚さえも摂取しない完全菜食主義者」のことを指しています。※1

しかし、一部の地域では「クラゲ」と「卵」を食べても良いという「ゆるいヴィーガン」が存在していたり、週一で活動する「ゆるいヴィーガン」も存在しています。

つまり、同一の「ヴィーガン」であっても、「完全菜食主義者」と「菜食主義者の一種」の両方の意味が混在していることに気をつけなければなりません。更にいえば、「食事」だけ制限する「ヴィーガン」(訳:完全菜食主義者)と、「食事」以外も制限する「ヴィーガン」(訳:脱搾取主義者)が混在していることにも注意しなければなりません。

そもそも「ヴィーガン」は「ヴィーガニズム」から来た言葉でありそうですが、英国ビーガン協会によれば、「Veganisimとは、可能な限り食べ物・衣服・その他の目的のために、あらゆる形態の動物への残虐行為、動物の搾取を取り入れないようにする生き方」と定義されている為、今日の文脈では、「ヴィーガン=ヴィーガニズムを実践する人」が誤りになるケースが多いことにも、注意せねばなりません。

今回の私の記事は、正確にいえば、「ヴィーガン」(訳:完全菜食主義)の方向けの記事になっていますので、よろしくお願いします。

注意① 必須アミノ酸の不足(注意度:中)

必須アミノ酸は、肉などの動物性食品を食べればすぐに補えますが、野菜ではそうはいかないのでしょうか。それについて実際の数値を用いて考えたいと思います。

アミノ酸がどのように含まれているか、を調べる指標として「アミノ酸スコア」があげられます。「アミノ酸スコア」は、「必須アミノ酸のバランス」を表しており、一つでも欠けたら意味が失われてしまう必須タンパク質の性質に沿った指標になっています(詳しくは補足を参照)。肉も大豆も同様にアミノ酸スコアは100なのでともに良質なタンパクですが、実際の含有量が分からなければ、必要なタンパク質が摂取できているとはいえないので、いくつかの食材のタンパク質の含有量を載せておきます。

100gあたりのタンパク質含有量(植物性)※2

  • 若鳥、もも、皮つき、焼き・・・25g
  • 牛肉、サーロイン、脂身付き・・・17g
  • 豚肉、ばら、脂身付き・・・14g

100gあたりのタンパク質含有量(動物性)※2

  • 大豆、乾燥・・・34g
  • 大豆、ゆで・・・16g
  • 納豆・・・17g
  • 小豆、ゆで・・・9g
  • えんどう豆、ゆで・・・9.2g
  • そら豆、乾燥・・・26g
  • そら豆、ゆで・・・11g
  • アスパラガス、ゆで・・・2.6g
  • ブロッコリー、ゆで・・・3.5g
  • 枝豆、ゆで・・・12g
  • 芽キャベツ・・・6g
  • とうもろこし、生・・・3.6g(アミノ酸スコア:70)
  • そば、ゆで・・・4.8g(小麦粉の量に依る)(アミノ酸スコア:90)
  • アボカド・・・2.5g(アミノ酸バランス◎)
  • バナナ・・・1.1g(アミノ酸スコア:60)
  • 米・・・6.8g(アミノ酸スコア:60)

タンパク質の一日に必要な摂取量は、成人男性であれば60~65g、成人女性であれば55~60gなので、「ご飯200g、納豆50g」(※米はリジンが不足している為、アミノ酸スコアは高くないが、納豆はリジンが豊富なので組み合わせるとアミノ酸スコアは高くなる)を3食食べるだけで、大体摂取量には届くということになります。つまり、「必須アミノ酸」という観点でいえば、「完全菜食」は問題ないといえるかもしれません。

注意② アラキドン酸の不足(注意度:極めて低)

アラキドン酸は、野菜にはほとんど含まれていません。文部科学省の食品成分データベース※2で調べたところ、野菜では、「にんじん」「ほうれん草」「かいわれ大根」、きのこ類では「しいたけ」、豆類では「豆腐」、穀類では「もろこし」などに最も多く含まれていますが、いずれも100gあたり2mg程度です。一方、一般に食べられる豚肉や鶏肉では、100gあたり100mgを超える部位が数多く存在します(300㎎を超えるものも存在する)。

アラキドン酸は、野菜や豆では殆ど摂取できないことが分かります。

そして、ここで重要なのは、アルツハイマーの患者さんや高齢者には「アラキドン酸」の量が少ない傾向にあり、「アラキドン酸」を摂取することが「認知症予防」につながるともいわれていることです。つまり、「アラキドン酸」を摂取しないことが、これらの症状を招くかもしれないということです。

しかし、そこまで心配しなくても良いかもしれません。

アラキドン酸は野菜に殆ど含まれませんが、「リノール酸→γ-リノレン酸→アラキドン酸」というように体内で合成することができる為、リノール酸やγ-リノレン酸を摂取することで補うことができます。

γ-リノレン酸は野菜には殆ど含まれていませんが、リノール酸は肉だけでなく、大豆、枝豆、アボカド、ぶなしめじ、ニンジンなどの多くの食品に含まれている為、「リノール酸→γ-リノレン酸→アラキドン酸」の合成の速度は定かではありませんが、それが適切な速度ならば、「アラキドン酸」を補うことができるといえます。

結論

「完全菜食」はあまり問題はないといえるかもしれません。しかし、「完全菜食」の場合、必要なタンパク質を摂取する為には、毎日、肉にも劣らない量の大豆を摂ることが求められます。その為、大豆が好きなら問題はありませんが、単に健康の為に「完全菜食」をしているなら、大豆食品を多く摂ることに抵抗があったり、ストレスを感じる場合、逆効果になりかねないことに注意しなくてはなりません。また、肉はかなり上質なタンパク質ですから、例え「一般的な食事」よりも「ヴィーガン食」の方が健康的であったとしても、「ヴィーガン食」よりも「ヴィーガン食」+「動物性食品」の方が、低コストで済む上により栄養価が高くなる場合が多いということにも注意しておかなければなりません。

補足

「完全菜食でも大丈夫」という文脈の中で、「野菜のアミノ酸スコアが高いこと」があげられる場合がありますが、それには注意が必要です。「アミノ酸スコア」は、「タンパク質を構成する窒素1g あたりに占める各必須アミノ酸のmg 数で表され、FAOやWHO等による合同委員会が基準としたアミノ酸評点パターンに対する割合」で算出されます※3。つまり、アミノ酸バランスの良さを表しているだけであって、実際の含有量は考慮されていないということです。例えば、ニンジン、キャベツ、ほうれん草のアミノ酸スコア55、53、50に対して、キュウリのアミノ酸スコアは66になっています。その為、アミノ酸スコアをアミノ酸摂取の文脈で用いるときは、アミノ酸の含有量と併せて用いる必要があることに注意しなければなりません。

引用

※1 Wikipedia「ヴィーガニズム」

※2 食品成分データべース – 文部科学省

※3 Wikipedia「アミノ酸スコア」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です